「給料が高くなくても、いきいきと頑張れる会社」をつくるには、人はお金以外にも「動機づけ要因(モチベーション)」を強く受けるという点を押さえる必要があります。
心理学や組織論では、特に内発的動機付けを高める仕組みが重要とされています。
以下の観点で工夫すると効果的です。
■1. 成長と学びの機会を与える
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キャリア形成の支援:研修や資格取得の補助、メンター制度。 |
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挑戦できる仕事:新しい役割や小さなプロジェクトを任せる。 |
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人は「自分が成長している」と感じると、給料以上に充実感を得ます。 |
■2. 裁量と信頼を与える
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自分で意思決定できる範囲を広げる(仕事のやり方や順序を任せる)。 |
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責任と権限のバランスを持たせる(責任だけ押し付けるのは逆効果)。 |
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「信頼されている」という実感が、やる気につながります。 |
■3. 承認と感謝の文化
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上司や仲間からのフィードバックや称賛を小まめに。 |
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形式的ではなく「ありがとう」を伝える習慣を会社全体で醸成。 |
■4. 公平で納得感のある仕組み
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給料が低めでも、評価や昇進の基準が透明であること。 |
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不公平感がなければ、報酬水準の絶対値よりも満足度は高まります。 |
■5. 人間関係と心理的安全性
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風通しのよい職場(意見が言いやすい、ミスを責めない)。 |
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仲間と協力・助け合える環境があると「居心地の良さ」が給与の不足を補います。 |
■6. 会社の存在意義・社会貢献を示す
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「自分の仕事が社会やお客様の役に立っている」と感じられるようにする。 |
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会社のビジョンを分かりやすく伝え、共感できるようにする。 |
■まとめ
「給料が高くない代わりに、働きがい・成長・人間関係・承認・納得感を提供すること」がポイントです。特に感謝・信頼・成長の機会 を与えることはコストを大きくかけなくても実行できるので、実践しやすいです。
「給料が高くなくても、いきいきと頑張れる会社」を 会社規模別(小規模・中規模・大企業) に分けた実践例。
■小規模企業(〜50人)
小さな会社ほど、経済的な余力は少ない一方で、柔軟さ・距離の近さを活かせます。
▼実践例
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社長や経営層が直接「ありがとう」を伝える文化を徹底 |
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小さな成功を皆で祝う(ランチ会、手書きメッセージなど低コストでOK) |
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役職に関わらず「一人ひとりが主役」と感じられる仕事の割り振り |
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成果や工夫を毎週共有する「Good Jobカード」や「称賛タイム」 |
※小さな組織では「居心地の良さ」と「自分の声が届く実感」が特に重要です。
■中規模企業(50〜300人)
ある程度の仕組みや制度が必要になり、公平性と成長機会がポイントになります。
▼実践例
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評価制度の透明化(基準を社員に公開、納得感を重視) |
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社員のスキルを伸ばす 社内勉強会やローテーション制度 |
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社内表彰制度(努力賞・改善賞などを低コストで導入) |
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若手社員が挑戦できる「社内プロジェクト」や「提案制度」 |
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部署を超えた交流の仕組み(シャッフルランチ、社内SNSなど) |
※「公平に見てもらえている」「成長のチャンスがある」ことで、給料以外のやる気が引き出されます。
■大企業(300人〜)
人数が多いため、一体感やビジョン共有が弱くなりやすいので、そこを補う仕組みが必要です。
▼実践例
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社員が「会社の社会的意義」を感じられるようにビジョンや社会貢献活動を浸透 |
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イントラや社内SNSで「称賛・感謝」を見える化 |
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キャリア開発プログラム(研修・資格・ジョブチェンジの制度) |
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心理的安全性を高める研修(上司向けマネジメント研修が効果的) |
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「働き方の柔軟性」や「福利厚生の充実」で生活の安心を支える |
※大企業では「自分は歯車の一つ」という無力感を減らし、「会社にいる意味」を実感できる仕組みがカギになります。
■まとめ
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小規模企業:近さと温かさ(感謝・意見の反映・一体感) |
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中規模企業:公平性と成長機会(評価制度・挑戦の場・交流) |
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大企業:意義とつながり(ビジョン共有・社会貢献・心理的安全性) |
つまり、給与水準の不足を補うには「その規模だからこそ提供できる非金銭的価値」を最大化するのがコツです。
会社規模別の低コスト施策リスト
■小規模企業(〜50人)
※「近さ」「温かさ」を武器に、すぐできる工夫を。
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毎朝3分の称賛タイム:1人が誰かに感謝や称賛を伝える |
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ありがとうカード:A4紙やメモで簡単に始められる |
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社長が毎月1回、直接フィードバック(感謝と期待を伝えるだけで効果大) |
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おやつ・コーヒー休憩制度(コスト小でリフレッシュ) |
■中規模企業(50〜300人)
※「公平感」「成長実感」を生む仕組みが効きます。
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社内表彰制度(努力賞・改善賞・お客様の声賞など景品は図書カードやランチ券でOK) |
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週1回のクロスミーティング(部署を超えて3?4人で雑談&情報交換) |
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評価の見える化(評価基準を社内ポータルに掲載) |
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新人と先輩のペア制度(お互いに学び合う関係を作る) |
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改善提案制度(1件提出ごとにドリンクチケットなどの小さなインセンティブ) |
■大企業(300人〜)
※「意義の共有」「一体感の可視化」がポイント。
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社内SNSで「ありがとう投稿」(称賛・感謝を見える化) |
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社長や役員が現場訪問&インタビュー(社内イントラに掲載) |
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社員のストーリー発信(「この人の仕事が会社に貢献している」事例紹介) |
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社内ボランティア活動(社会貢献を通じて誇りを育む) |
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ピア・ボーナス制度(社員同士が小さなポイントを送り合い、景品や寄付に使える) |
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キャリア相談窓口(上司以外に話せる安心な場所) |
■共通して効果的な低コスト施策
■こうした仕組みは大きな投資なしに導入でき、特に給与水準を補う「働きがい」や「一体感」を強めます。 |